核燃に対しての公開質問状
   

核燃料サイクル開発機構理事長
    殿塚猷一 殿

 2005年6月8日


                  ウラン残土訴訟を支える会(代表・石田正義) 

公開質問状

 最高裁決定で撤去命令が確定した鳥取県湯梨浜町方面地区のウラン残土3,000立方メートルが、貴職の怠慢でいまだに撤去されず、6月8日現在で制裁金が7,750万円に膨らんでいます。
貴職の事業所たる核燃料サイクル開発機構人形峠環境技術センターに搬入して管理すれば解決する問題をこじらせ、とめどない国民の税金の無駄遣いを続けておられることは、国の機関にあるまじき遺憾な行為であり、その責任はまことに重大であります。
 しかも、貴職は最高裁決定をそらすため麻畑保管案を持ち出し、県立自然公園条例による禁止命令取消請求訴訟を起こしておられますが、5月12日付けで原告の核燃が鳥取地裁に提出し、合わせてマスコミ各社にも配布した資料のなかで、旧動燃時代顔負けの証拠隠し・虚偽報告が発覚しました。
すなわち、「鳥取県内、岡山県内の堆積場等の概要」なる表に、核燃人形峠環境技術センター内の夜次地区の露天掘に現存するはずの23万5,500立方メートルのウラン残土が記載されていません。
 この夜次地区の23万5,500立方メートルのウラン残土の堆積量は、1998年1月に社民党の国会請求に答えて旧動燃が提出した資料の「捨石たい積場の坑道探鉱関係表」にはちゃんと記載されています。
 このさい、あらためて以下の事項についての説明を公開で求めます。方面地区のウラン残土撤去問題は原子力開発の入口の核のごみのあと始末の問題として、国民が関心をもって見守っている事柄でありますので、貴職の回答はマスコミを通して公開するとともに、私たちウラン残土訴訟を支える会のホームページにも掲載しますのでご承知おき下さい。


1、なぜ貴職は人形峠センター内の夜次地区に現存するはずのウラン残土23万5,500立方メートルを隠して堆積量を発表されたのか。今回の資料は裁判所に虚偽の書証を提出したことになるが、もし1998年の資料が事実でないというなら国会に虚偽の報告をしたことになる。貴職は旧動燃時代も顔負けのその場しのぎの証拠隠しと言い逃れに終始されるつもりか。

2、最高裁決定で撤去命令が確定した方面地区のウラン残土3,000立法メートルを法定核専門施設たる人形峠センターに持ち込めない理由どこにあるか。げんに、核燃(当時は動燃)は1988年末から1989年にかけて、岡山県側の中津河地区のウラン残土1,200立法メートルを人形峠センター(当時は動燃人形峠事業所)に撤去し処理されているのに、どうして方面地区のウラン残土は別なのか。

3、そもそも、最高裁決定で確定した判決における「関係自治体の同意」の「関係自治体」とは、1990年8月にウラン残土撤去協定書を締結した当時の当事者間の共通認識からしても、昨年10月の判決確定に至る一・二審の訴訟の審理経過からしても、人形峠センターのある岡山県を意味していたことは、貴職も承知のはずである。それゆえ、ウラン残土の人形峠センターへの撤去は、最高裁決定が持つ法の趣旨ないしは法の精神であるが、なぜ貴職はこの法の趣旨ないしは精神に従わず、逆に法の揚げ足取りや意趣返しのような、姑息な手段で責任を他に転嫁しようとされるのか。

4、これに関連して、貴職は最高裁決定のあとの昨年11月10日の衆院文部科学委員会で、従来の核燃の態度をがらりと変え、「関係自治体の同意がなくても、搬出・搬入の公的制約にはならないという判断が示された。この命令に粛々と従うことが機構の立場だ」と答弁されたが、この「機構の立場」を人形峠センターの立地自治体に適用して「命令に粛々と」従わないのはなぜか。

5、貴職は4月25日の衆院決算行政監視委員会で、「(県立自然公園条例による)禁止命令の取消しを求める一方で、現地措置の考え方を基本に置きつつ ・ ・ ・」と答弁し、佐藤隆博法務室長も5月12日の記者会見で、人形峠センターへの撤去は「国も岡山県も(ウラン残土の)現地処理を原則にしているので実効性がない」と述べておられるが、国の「現地措置」「現地処理」はいかなる場で誰が決めたのか明らかにされたい。また、核燃は自己責任をタナに上げ、あたかも岡山県の下部機構のような卑屈な態度を取られるのはなぜか。

6、三権分立のもとにある法治国家においても、行政庁で解決できない問題は最終的に司法判断に委ねられ、日本の場合は最高裁を最終審級とする司法判断が法治国家の最後の決め手であり、国も岡山県も最高裁決定による司法判断には逆らえないはずだが、貴職のいう「現地措置」「現地処理」は最高裁決定による撤去命令に反したものではないか。

7、佐藤隆博法務室長は4月12日の記者会見で、方面地区のウラン残土撤去の撤去先として、鳥取県内20カ所の土地・倉庫などを探し、そのうち数カ所にしぼって交渉している、と述べたと報道されているが、これは事実かどうか明らかにされたい。もし、それが事実だとしたら、核燃はウラン残土の自己責任をまったく取らず、まるで留守宅を狙う空き巣狙いのように、他所の土地に押し入って自己の不始末物をなすりつける、国の機関にあるまじき卑劣な行為と考えるが、この点についての見解も聞きたい。

8、核燃の制裁金は国民の税金を財源としている。核燃が最高裁決定による司法判断に従わず、国民の税金を湯水のように使い、7月下旬には制裁金が1億円を超え、それはとめどなく膨らむが、貴職はこの異常な事態をどう考え、いかに対処されるか答えられたい。

  

[自治会訴訟 詳細]一覧へ    

  

 

核燃からの回答

   

                    平成17年6月30日

ウラン残土訴訟を支える会公開質問状に対する回答

             核燃料サイクル開発機構

1(1)機構は、既に「夜次露天採鉱表土堆積場」について記載のある報告書「人形峠環境技術センターにおける鉱山跡の措置に関する量本計画」を公表し、また、社民党国会議員の求めに応じて資料「捨石たい積場の坑道探鉱関係表」を公開しているところである。

 (2)禁止命令取消請求訴訟において提出した資料は鳥取県内にある堆積場の存在を示すために上記報告書の一都ページを提出したものであり、すべての堆積場の存在を示すために提出したもめではない。

 (3)したがって、裁判所に虚偽の書証を提出したものではなく、機構が、証拠隠し等のいわれなき非難を受ける理由は全くない。

2(1)最高裁決定により確定した鳥取地裁判決や間接強制決定は、方面ウラン残土約3,000平方メートルの撤去を機構に命じているが、人形峠環境技術センターを含め、搬入先を指定したものではない。
 間接強制決定変更申立却下決定も、「本件判決や本件間接強制決定は、本件ウラン残土の撤去先を何ら指定していない」と述べているところである。

 (2)また、方面区との間の撤去協定は搬入先について約定したものではない。
撤去協定締結当時の当事者の共通認識は人形峠環境技術センターを搬入先とするものであったが、これが不変のものではないことは、岡山・鳥取両県境の鳥取県有地での保管案や旧東郷町内の観光梨園敷地内での保管案に関する経緯に照らし明らかである。
 すなわち、鳥取県有地保管案については、機構は、平成8年4月、撤去先を当該鳥取県有地とする旨の合意確認文事を方面区と調印し、同年7月には、機構は鳥取県知事に県有地の借用を求め、また、同年12月には、・鳥取県生活環境部長が三朝町長に当該県有地での保管を正式に申し入れる等したところである。また、観光梨園敷地内保管案については、平成9年9月、鳥取県副知事が東郷町長、同町議会議長に同町内での保管について正式要諦をし、平成10年6月に同町議会が同町内での保管を承認する等したところである。

 (3)なお、平成元年から平成2年までの間、岡山県内の捨石堆積場から約1,200立方メートルのウラン残土を当時の人形峠事業所内のヒープリーチング施設において試験的に処理したが、その後、同施設は、一定の維持管理を行ってきたものの、設備の老朽化が進み、使用できる状況ではなくなったことに加え、平成14年8月には、鉱山保安法に基づく設備としても廃止となっている。

 (4)したがって、機構が、法の揚げ足取りである等のいわれなき非某を受ける理由は全くない。むしろ、貴会こそ、最高裁決定等を曲解するものである。

3(1)ウラン残土は、元々天然に存在したものを掘り出し、坑口にそのまま置かれたものであり、化学的処理を行っていないことから、掘削前と同じような状態に復元することができるものであり、発生した場所あるいはその近くで措置することが適当であることから、機構は、撤去を命じられた方面ウラン残土を恒久的に措置するため、機構所有地であり、かつ、方面捨石堆積場と同じ東郷鉱山に属する麻畑1号坑捨石堆積場敷地内に搬入することが適当であると判断したものである。当該判断は、何ら確定した鳥取地裁判決に反するものではない。

 (2)また、間接強制決定により期限内に撤去するよう命じられた.ことから、機構は、フレコンパック詰めウラン残土約290立方メートルを麻畑1号坑捨石堆積場敷地内に仮置きしようとしたところ、鳥取県中部総合事務所長が違法なな禁止命令をなしたことから、他に仮置き場所を確保すべく努めることについて、機構が、自己責任を全くとらない行為である等のいわれなき非難を浴びる理由は全くない。

 (3)なお、機構法務室長が、記者会見において、「国が現地処理を原則としている」旨の発言や、「数カ所に絞って交渉している」旨の発言をしたことはない。

4 機構としては、現時点に至るも撤去することができず、強制金を支払わなければならないという事態にに至っていることは遺憾であると考えているところであり、禁止命令の取消しを求める裁判を継続する一方、現地措置の考え方を基本としつつも、あらゆる可能性を含めて搬出の途を探るなど、幅広く問題の解決に向けて鋭意努力しているところである。

以上

   

[自治会訴訟 詳細]一覧へ    

  

核燃の回答に対する我々の見解


 「夜次露天採鉱表土堆積場」のデータを伏せたのは核燃の隠蔽体質の現われ

 人形峠センターでウラン残土を処理・管理できない理由を説明していない

                     2005年7月5日

                           ウラン残土訴訟を支える会

 当会の公開質問状(6月8日)に対する回答が核燃料サイクル開発機構より7月1日に届きました。これについての当会の見解を以下に示します。

1、核燃の回答によれば、禁止命令取消請求訴訟で提出した資料は「鳥取県内にある堆積場の存在を示すため」、すでに公表済みの報告書の一部ページを提出したもので、すべての堆積場の存在を示すために提出したものではないとしています。
 しかし、問題の核燃の資料のタイトルは「鳥取県内、岡山県内の堆積場等の概要」となっており、「鳥取県内にある堆積場」だけでなく、「岡山県内の堆積場等」も含めた「概要」を示すタイトルであることは明らかです。
 こういうタイトルで裁判所やマスコミに資料を提出する以上、ページが飛んでいようといまいと、「夜次露天採鉱表土堆積場」のデータ部分も一緒に提出するのが当然であって、これをあえて伏せたところに核燃の隠蔽体質が如実に現われている、というのが私たちの見解です。
 この夜次地区のウラン残土も含めて、すでに大量のウラン残土を人形峠環境技術センター内に抱えて、それを核専門機関の核燃が管理している事実を公表することは、なぜ方面地区の3000立方メートルのウラン残土を人形峠センター内で管理できないのか、と追及されるさいに都合が悪かったとしか考えられません。

2、方面地区のウラン残土をめぐって、県境保管案や東郷町内保管案など、紆余曲折があったことは私たちも承知しています。しかし、それでも決着がつかないから、ウラン残土撤去協定書の原点に立ち返って、司法の判断を仰ぎその最終結果が出たのです。
 協定書に搬入先が明記してなくとも、撤去先が人形峠センター(当時は旧動燃事業所)だったことは、核燃と自治会側の双方の共通の了解事項であり、最高裁決定で確定した判決もこれを前提に司法の判断を示したのです。
 ヒープリーチング施設を廃止したため、方面地区のウラン残土を撤去できないという理由づけは、ウラン残土撤去協定書の締結当時、旧動燃のヒープリーチング施設は稼動中だたとして、確定した判決が明確に斥けています。しかも、麻畑保管案ではヒープリーチングを行なわないで保管する構想だったではありませんか。

  結局、核燃の回答は、
[1]どうしてケタ外れの膨大なウラン残土やウラン鉱滓を抱えている人形峠センターで、方面地区のウラン残土3000立方メートルを処理・管理できないのか

[2]これまで核原料物質や核燃料物質を扱い、はるかに厄介な高レベル核廃棄物の処分研究の中核と位置づけられてきた政府系核専門機関の核燃は、ウラン残土を処理・管理する技術的能力も持たないのか 

              の基本的2点についての説明責任を果たしていません。 

   

[自治会訴訟 詳細]一覧へ